またまた期間が空いてしまったぞ…。
文章を書くのは好きなのですが、推敲に時間がかかるので、ついつい更新が遅くなってしまいます。
と言い訳はさておき。
去る8月6日、琵琶を担いで向かった先は、京阪本線寝屋川市駅近くにある「サモックホール」。
社団法人日本音楽ヘルパー協会さんの活動拠点で、定期的にサロンコンサートが開かれている会場です。
ここで行われたのが「琵琶ふれあい交流会2017」というイベント。
そこで演奏をさせて頂くのです。
↑の画像は、同門の淀茜さんから頂きました。
ちなみに左の看板は、師匠・中野淀水先生のお手製です。
私は錦心流琵琶の各団体に所属しておりますが、師匠の中野先生が寝屋川市在住ということもあり、寝屋川市邦楽協会にも所属しています。
寝屋川市邦楽協会には、箏・三味線の先生方が多く所属されていて、我々琵琶人と合同で演奏会を開催することもあるのですが、お互いの芸について知る機会というのが意外と少ないんです。
というわけで、今回は、邦楽協会の会員さん及び一般の方々に、琵琶について楽しく学んで頂こうという企画で、
①琵琶についてのレクチャー
②琵琶の演奏
③琵琶の体験コーナー
の三本立てでお送りしたのでした。
私が演奏したのは「おとぎ琵琶 鉢かづき姫」。
何と、新作です。
とは言いましても、お話自体は昔からあるもので、古くは「御伽草子」から、今でも多くの絵本や昔話として語り継がれています。
昔むかし、河内の国・寝屋の里(現在の寝屋川市)に住んでいた長者の娘が、観音様のお告げにより、母親の手で頭に大きな鉢をかぶせられます。間もなく母親は亡くなり、その奇妙な姿ゆえに人々から恐れられた娘は、やがて家を追い出されて流浪の旅に…というあらすじです。
錦心流琵琶には「おとぎ琵琶」というジャンルがあります。
名前のとおり、日本に伝わるおとぎ話を琵琶歌に仕立てた、子どもさん向けの演目です。
普段は、昔の言葉遣いでなるべく無表情に演奏する錦心流琵琶ですが、おとぎ琵琶に限っては、話し言葉を使い、表情豊かに、身振り手振りなどを交えて楽しく演奏します。
おとぎ琵琶に取り組み始めてから5年ほど経ちますが、我々の本拠地・寝屋川が舞台のお話があるのだからというわけで、先生と相談しつつ、約半年がかりで作った「おとぎ琵琶 鉢かづき姫」。
せっかくなので、寝屋川市民の皆さんに聞いて頂こうではないかと、今回の初演となったのでした。
当日は、邦楽協会の方々を中心に、 40人ほどのお客様にお越し頂きました。
中野先生の講義に続いて、同門の鈴木梁水さんによる、薩摩琵琶の代表曲「城山」。
薩摩の英雄・西郷隆盛の最期を描いたこの曲は、同じく明治維新の立役者である勝海舟が、盟友を偲んで作詞したといわれています。
↑こちらの画像も、淀茜さん提供。絵画を背景に演奏です。
そして、私の出番。今回は椅子に座っての演奏でした。
話の前半では、鉢かづき姫の苦難が描かれるので、あまり楽しい調子で演奏するわけにもいきません。
その点で「文福茶釜」「兎と亀」といった他のおとぎ琵琶よりは、少しおとなしい表現になったかな?と思いつつ、要所要所でセリフや顔芸を交えて演奏しました。
少々こっけいな場面で笑いが起きると、心の中でガッツポーズ。
最後は大団円で、楽しく演奏させて頂きました。
演奏の後には、実際に琵琶に触れて頂き、簡単な弾法(琵琶の奏法)を体験して頂くコーナーも設けました。
琵琶の重さや撥の大きさ、弦を押し込んで音階を変える奏法に驚く方も多くいらっしゃいました。
箏や三味線を演奏なさる方には、逆に琵琶との違いをお尋ねしたり、中には、今すぐ我が会に連れて帰りたいほど達者な方も。
帰り際には「楽しかったよー」「以前より琵琶に親しみを持ちました」など、嬉しい感想もたくさん頂きました。
来たる9月16日には、同じくサモックホールで演奏の機会を頂きましたので、よりブラッシュアップさせた「鉢かづき姫」を引っ提げて参りたいと思います。