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10/28「ならまち薩摩琵琶コンサート」の思い出

日本が誇る観光都市・奈良でも、やはり秋はいちばん観光客の多い時期なのだそうです。

しかも、毎年恒例の「正倉院展」が開催される次期となれば、主要な観光スポットは相当の人出となるそうで…。

そんな秋晴れの日曜日、2回目となる「ならまち薩摩琵琶コンサート」が開催されました。

ご覧ください、この素晴らしい景色。

前回に引き続き、会場は、名勝大乗院庭園文化館。

奈良ホテルに隣接する、名勝大乗院庭園をゆっくり眺められる絶好のスポットなんです。

こちらの1階和室で演奏会を行います。

↑リハーサルの風景。

 

出演者は、前回と同じく、私、荻山泊水と、同門の前川笙水さん、

そして新たに同門の渕脇凌水さんを加え、3名体制となりました。

 

曲を選定するに当たって、シンプルに秋くくりで行こうか、となり、協議の結果、

「月下の陣」「川中島」「大江山」の3曲に決まりました。

「月下の陣」は、上杉謙信が秋の夜、陣中で漢詩を詠んだという故事にちなんだ曲。

「川中島」は、その上杉謙信と、生涯のライバル・武田信玄との戦いを描いた曲。

「大江山」は、京都の大江山に住む鬼・酒吞童子を征伐する源頼光たちの物語です。

「月下の陣」を3名で、「川中島」を渕脇さんと前川さんの掛け合い、「大江山」を荻山の独演、という構成でした。

 

「川中島」では、珍しい試みがなされました。

私たちの流派では、2人以上による掛け合いや合吟でも、同じ節を同時に弾く(または歌う)か、1人ずつ弾いたり歌ったりするのが常です。

が、今回は、2人が同時に違う弾法(琵琶の奏法)を弾く、いわゆる連弾が入りました。

実は、前川さんは現役のフルート奏者としての顔を持ち、渕脇さんもかつてカウンターテナーを学んでいたという、バリバリの音楽家な2人なんです。

音楽に造詣の深い2人だからこそ可能になった連弾ともいえます。

(そう、この件に関しては、私、感想を述べただけで、完全にノータッチです)

伝統的な錦心流の弾法とは異なりますが、音の厚みやハーモニーがとても面白く、今回一度きりではもったいない!と思わせる試みとなりました。

 

一方、「大江山」。

最初にあらすじを説明するために、物語の主人公のひとり、酒吞童子について調べていたら、意外なことを知りました。

酒吞童子の生い立ちにまつわる伝説は、全国各地に残っているのですが、なんと、奈良にもあったんです。

椿や萩の花で有名な白毫寺。酒吞童子はもともとここの稚児だった、あるいは住職の子どもだったが、その子どもがやがて怪異を生じて寺を追い出され、大江山で鬼になったというお話があるそうです。

「秋」くくりで選んだ曲が、思いがけず奈良と結びついていたのに驚きました。

そんな酒吞童子に叱られないよう、力を込めて演奏いたしました。

 

当日は、行楽日和に恵まれ、こちらもびっくりするほどたくさんのお客様にお越し頂きました。

その分、客席が狭くなり、ご不便をおかけしてしまい、たいへん申し訳なく思いました。

それでも、皆様にご協力頂き、無事に公演を終えることができました。

お越し頂きました皆様、チラシ配布などでご協力下さった皆様、ありがとうございました。

 

琵琶亀の子舎、来年初夏にも演奏会を予定いたしております。

また、奈良でお会いしましょう!

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